虚構の空白/汰介
 


ぽおん、ぽおん、と、バスケットボールを畳の上に寝転がりながら、
両手の掌で適度に弾みをつけ、天井に当たらない様に何度も放り投げている。

僕は、何よりもこの空虚な時間が好きだ。

その内に、つい弾みが付き過ぎて、天井にバスケットボールは当たってしまい、
ばん、と、びっくりする様な音を立てたと思ったら、
天井にぶつかった弾みで、落下の勢いが付き、それは僕の目の前に急激に迫ってきた!

とっさの機敏で、すぐ、横に体を転がさなかったならば、
僕の大事な空白の時間は、台無しになっていた事だろう。

僕は、ひやりとした眼差しで、ぽんぽん跳ねるバスケットボールの行方を、見届けて
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