凍える夏/
ひだかたけし
外界は、
無数の浮遊映像
透明な皮膜越し
人々が車の列が
太陽に焼かれ
ふわふわ微睡んでいる
不意に、
道路を裂いていく亀裂は
青過ぎて暗んでいく空と共に
雪の砂漠の空洞を穿ち
弾け飛んだ愛情の軽さを曝け出す
傾く意識は、
もわりとした外気に朦朧と
実感なく歩を進める己の体
虚脱した軋む骨組みに肉を纏わせ
濫立浮遊映像の世界を臨む
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