赤い糸を君に/石瀬琳々
 
あなたの小指に糸を巻きつけました
赤い色をした糸を
風にふるえて揺れている
その糸の先にわたしの小指


(ねえ きれいでしょう この世界は
 心でしか見えないものがある)


どこか遠い場所で鳩が飛んだ
わたしたちのことを誰も知らない
ほつれ毛をなびかせて花のように
夏草のなか静かに微笑みを交わす
二人の幸福は川のようだった


小指と小指に赤い糸を絡ませて
知らない林に横たわり目を閉じる
そんな恋だ
あなたとわたし
このままはなれられないように


(ねえ きれいでしょう この世界は
 こんなにか細い糸だとしても)


行方知れずになって
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