原初他者恐怖(改訂)/
ひだかたけし
凍結した大地、
彷徨する雄の白熊
雌の匂いを頼りに、
年に一度の交尾を求め
蒼白い氷山の突端、
雌雄は獰猛に唸り
出逢い対峙する、
選択の余地はない
生き残って来た意志自然、
彼らの交尾は結果必然
哀しい至福の叫び、
凍結の大地に響き渡り
果てて交接の温もり、
雌雄互いに恐れをなし
逃げる、巨体揺すり逃げる、
二度と出逢わぬように
大地は此処では、
凍結から溶かれることは決してないのだ。
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