回帰的なスペースモンキー/秋也
あいつは猿だった頃から
金色の球体を見上げて
いつかあそこに辿りつくのだろうと
嬉しそうに笑っていたよ
道があって扉があって
誰もが歩いている
ドアノブはよく冷えているし
二人で触れたい
鍵穴を覗けば
赤い球体がぶつかりあう
小さくなればしゃぼん玉のように割れ
虹を弾きだす
我々は猿にもなり切れず
猿にもなれず
それでも猿だった頃より遥か昔
あいつのように見上げていた
恐ろしく遠いところから来たのだから
高い高い灰色の塔だって周り続ける
複数の金色の球体は多数
やがて大きな一つになる
青と赤のインクが入った液体式砂時計
ノスタルジー玩具
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