がんぜないもの/ただのみきや
かなしいがいっぱいになって
泣きだした
よくとおる声で
しゃくりあげ
虐たいではなく
とおり魔でもない
がんぜない
わがまま
しわのない顔をせいいっぱいゆがめ
大つぶの涙おしげもなく流し
こどもが泣いている
波間におちる天気雨のように
あらんかぎりの自我を発信する
このままならない世界へ
えんえんと
えんえんと
こころのまなかの
ほつれた糸を引っ張られるようで
とりたててかみしめることもない
平和とか幸せとか
少しすっぱくなって
早足ではなれた
賞味期限切れなのに
みすみずしい傷口
《がんぜないもの:2016年6月15日》
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