アネモネの詩 for Q/もっぷ
そのまなざしは父親には赦された
母親は女の子だったから赦せなかった
のだろう(自らへの)失意と憤り
* * *
旅立ちたかったのは
なみだの源泉へだった
そこが故郷なのだと覚え
故に初恋と言い得るほどに
焦がれる存在へと育まれ
だから靴の紐をも結び
白旗の全てを燃べて
* * *
ついに不意打ちのなみだの夜 その
ひとつぶは 開いてあった手帳の
白い色彩だけのページに落ちる
三つ編みの少女はそこまでを
昨日と決め髪を解放すると
私 になって日日を見つめる
鏡の彼女もいまだ泣いているし
いっそ靴など脱ぎ捨ててはどうか
ついに悟った母性からの
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