鍵/あおい満月
 
た幻。
でもすべて終わった幻。

あの日に帰りたいなんて、
思わないけれど、
本当の優しさを取り戻すために、
もう一度真っ直ぐに生きてみたい。

もうすぐ出会える、
私を待っているあの腕に、
抱き上げてくれたなら、
迷わずに言う。
ただいまと、
約束の鍵を手渡すために。

急な坂道に咲く桜の、
花弁で霞むあの向こう側に、
あなたがいる、
走り出す、
砂利に躓いて転んだ、
膝小僧から流れた血が、
今はすごくあたたかくて、
私は笑みさえこぼれてくる。



※過去詩です。
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