アンダルシア/佐久間 肇
水溜りに身を沈めて。
彼女が言うには、
『もうすぐ世界の終わり』らしい。
そんなこと、何百年も前から決まっていたよ、と僕が言う。
あの嘘吐きなノストラダムスだってね、
好き好んで予言してたわけじゃない。
だってね、見えてしまうんだ。
あ。へそを曲げる彼女の。
白いぶらうすの襟。
レェス模様の。
そのレェスの隙間から見える、
欲情。
*
洗濯機の中に暴力を沈めて。
彼女が言うには、
『もうすぐ暗黒のアンダルシアが響き渡る』らしい。
それなら、もう聞こえてきてるよ、と僕が言う。
スカッドミサイルが打ち込まれている、咆哮の音
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