多い腕/
草野春心
右腕や左腕やどちらでもない腕などがそこに浮かび、
かえってきたのか向かっていくのか全然わからないが
アルミ製のサッシ越しに月面の色でくりかえされている
気は確かだ気は確かだ気は確かだ気は確かだ気は、確かだ
いやそれとも先刻の俄雨の残像たちが目にも留まらぬ速度で
俳句にされつつあるだけなのだろうかあなたの心で
戻る
編
削
Point
(3)