大洪水/kaz.
しいものは何もなかった。これは本当のことだ。僕はそう言いたかった。僕は街並みを見つめていた。彼女を見つめたら怒られたからだ。僕は彼女に魅力を感じなかった。僕は繰り返す。彼女に魅力を感じなかった、と。
彼女に魅力を感じなかった、
上の命題を消去せよ。消去せよ。僕は詩人だ。僕は詩を書きたい。僕は散文家じゃない。僕は哲学者じゃない。僕は詩人でありたい。伝わらないかもしれないけど。でも伝わらなくたって本当はどうだっていいのかもしれない。もうなんでもいいんだ。僕は翼が欲しい。煙草の煙でできた翼で僕は飛んだ。僕は飛んだんだ。本当に。僕は飛んだ。煙のまやかしで僕は空に浮かび上がった。雨の日に空を見つ
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