マスオカキッコーマン「置き去り」/花形新次
 
公園でかくれんぼをしていた

私が鬼になった
後ろを向いて
目を閉じ
100数えた

みんなを探した
公園の端から端
トイレの中
ベンチの下
桜木町
探せるところは
全部探した

でも、誰も見つからなかった

やがて日が暮れ始めた

公園には
私とブツブツ独り言を呟く変な人しかいなかった
(それが自称詩人とは知らなかった)

まただ・・・
また、私は騙されたんだ

私は悔しくて
悲しくて
泣きながら家に帰った

パパもママも
お姉ちゃんも
心配させたくないから
涙を拭いて
ドアを開けた

・・・・・・・・

家の中は
もぬけの殻だった

それ以来
家族とは会っていない

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