望郷(十)/
信天翁
(なんのことはない)
傘寿のリビングに鎮座し続ける
ねこぜのトルソは
冷たい時空におどされて
いまや
吸う息を灰色にはずませ
吐く息をにび色に染めあげている
過ぎ去った
青いあかりの蜻蛉に
おどらされて
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