夢見ぬ人/
ただのみきや
でいる
誰かが筆を折る
言葉は銃弾に作用しない
言葉は心に作用する
言葉が無力なのではなかった
人があまりに無力だった
そうして目を瞑る
眠ることもしないまま
夢より深く落ちて往き やがて
暗闇の門口に立った
待っている者は誰もいなかった
――ようこそ
そう自分へ呟くしかなかった
《夢見ぬ人:2016年6月4日》
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