冷えた天使/見えつつあるものの内壁へつたう光/草野春心
見えつつ
あるものの内壁へ
つたう光へ、冷えた天使をみつめていた
腫れ房を成す、硝子景(ガラスけい)の、あなたがたの
優しさから眼をそむけた
見えつつ (くらがりを泳ぐゴンドラ
あるもの (あさいろの夜にならべて
の内壁へ (音瘤(おとこぶ)にひそみ、蛇たちは
つたう光 (うつくしい毒をむすんで
へ、冷え
た天使を
みつめて
いた……。 頬杖をつき
透きとおっていく
やわらかな自我たちが
あなたの優しさに融けいり
やがて凍てつくように結びつく夜
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