杖に関する考察/小川麻由美
想像上の杖は今では物質化し
杖に支えられ 安らぎを得たと
思いきや それは かりそめ
杖は時に励まし 杖は時に裏切る
杖をつかなかった頃 その頃
記憶は薄れ 緑がかった
緑がかった記憶は 薄く平ら
切ない緑色に染まった
たかをくくったところで
杖は私の行き先に 深く深く
関わり合いながら 歩む歩む
私の人生を 歩む歩む
私なりの人生を 歩む歩む
許されるなら ついえるまで
いつの日か来るだろう
杖が無くとも 前進できる日が
なぜか そう 感じる
感じるしかないから
いつの日か来るだろう
緑がかった世界の視界が冴え渡り
天然色の記憶となり よみがえる
忘れがちな 希望という 言葉
一筋でもいい いくばくかでもいい
希望を目指し 今日も
杖をつく私がここに立っている
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