紙のドア/
ただのみきや
今朝あなたの手紙の上
木漏れ日が踊りました
強い日差しは濃い影を生み
風のなすまま掻き乱されて
静止なんてありえたでしょうか
いつも新鮮で
動揺は隠せなかった
なのに
身じろぎもせず
言葉は見ていた
波ひとつない夜の海から呼ばわるように
時の厚さを紙より薄くして
あの手紙はもう
とっくに灰になったのに
今朝ひらかれた詩集の上
木漏れ日が踊りました
石は今も濡れたまま
《紙のドア:2016年6月1日》
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