イレイザーヘッド/wakaba
 
君のその変色した合成樹脂みたいな脳みそから
濁ってる記憶だけを取り出して
映写機に装填してレトロ上映会を開きたい

僕があの頃の君に惚れていたかどうかなんて
そんなどうでもいいくだらないことは
君の想像にお任せします

僕らの記憶は不燃化物質
プラスチックみたいな燃えないゴミ
処分場所をたらい回しにされて
さまよい続けている無様な記憶

可哀想な振りをしてる君は
誰もいない上映室にしゃがみ込んで
泣きじゃくって可哀想な振りしてる
悲劇のヒロインの振りしてる

知らない振りをしてる僕は
泣きじゃくる君に気づかれないように
適度な間隔を開けて知らない振りしてる
[次のページ]
戻る   Point(1)