ヘビトンボ/ただのみきや
 

熱に喘ぎふらふらと
ただふらふらと
非力な翅で
空の空を扇ぎ続け
当てもなく
逃げるのか
硬い翅が
かみ砕く強力な顎が
激しく
ぶつかり
憎しみと侮蔑が
襲ってくる
傷つき破れ
襤褸になって
ただふらふらと
逃げるのか
仲間ではなかった
強者たちが
この異物を追うのに
飽きるまで


 *****


あれはカゲロウ
風に浮かび
舞い踊る
夏の夕べの妖精たち
ああ同胞よ
まぎれもない
同胞たちよ

  {引用=《カゲロウ》

  ああヘビトンボさん
  こんばんは
  ああそうですか
  そうですね
  困りましたね
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