初夏の出来事/崎山郁
 
もう夏の野菜たちを食べている

君たちを育ててきた人は
どんなふうに思うだろうか
皮を剥かれて
切られたり叩かれたりして
木のまな板の上で
内側まであばかれる

まだ初夏なのに、ね
梅雨もまだの暑い台所で
好きな音楽に身を委ねて
私は君の為に
そんなことを繰り返して
君の身体の中に入れるものを
作っている

出来れば野菜たちも
私のかけた音楽を聴いて
気に入ってくれて
素敵な最後だったら
いいよね

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