初夏の出来事/
崎山郁
もう夏の野菜たちを食べている
君たちを育ててきた人は
どんなふうに思うだろうか
皮を剥かれて
切られたり叩かれたりして
木のまな板の上で
内側まであばかれる
まだ初夏なのに、ね
梅雨もまだの暑い台所で
好きな音楽に身を委ねて
私は君の為に
そんなことを繰り返して
君の身体の中に入れるものを
作っている
出来れば野菜たちも
私のかけた音楽を聴いて
気に入ってくれて
素敵な最後だったら
いいよね
戻る
編
削
Point
(2)