不法投棄地帯/ただのみきや
葬られもしない 時折
山の陰影を受信してそれが当然みたいな顔してる
雲雀は歌い続けた光に酔い痴れて
ロープもなしでバンジージャンプ特異点へ
淡い影を裳裾のように揺らし幽霊たちは踊る
流れる音を隠して孤独へ寄り添う河のように
静けさはざわめきの中に憩い
こっそりと書き連ねる誰にも辿れない足跡で
「貝塚を見に行きましょうか
誰かの悪戯描きが見つかるかもしれません
峠で廃棄されたあられもない死体が
走り去る時代へそっと手を振る
《不法投棄地帯:2016年5月23日》
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