五月の惑星/塔野夏子
 
夜の中空に
五月の惑星がある
果実のようにある
そこからぽとりと垂れた雫のように
君が目のまえにあらわれた

などと
君のことを詩に書いてみても
五月の夜気はどこか水のようで
だから言葉たちは書くそばから
にじみあがって宙へと
消 え て し ま う

いつしか
五月の惑星のまわりに
ひと群れの螢がまつわっている





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