縁の切れ目/板谷みきょう
 
「内緒で10万円貸してくれないか
彼女に子どもが出来ちゃって
堕ろさないとマズいんだ。」

そんな電話がきた

マサアキとは
学生時代からの親友だった
悪戯も悪ふざけも一緒にした

ボクは看護学校へ行き
彼が調理師専門学校に行った時も
看護婦の卵を何人か紹介して
遊び歩いた仲だった
そしていつしか
別々の道を歩むようになって
極偶にしか
会うことは無くなって
お互いに家庭を持つようになっていった

「彼女って…嫁のこと?
目出度いんじゃないの?」

そう言うと
「否、実は。オレさぁ
今、レストランを任されて
店長やってるんだけど
ソコにバイトに
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