死者の道(化石)/kaz.
 
つの道に分かれている。一方はしんと静まり返り、もう一方からは石油が臭い、そちらに行くと、オレンジの燭台が見え、徐々にその半透明の影が広がっていく。見つけた!ひとりの男が叫び、すぐに何人かが集まってきて、化石だ、と口々に言い合って、渦巻いた塊が男の手の中で黒光りする。引き返して、もう一方の道に向かっていくと、ツチボタルの松明が弱まり出す。進めば進むほどに弱くなり、遂に消えてしまう。手探りで進み、ようやく洞窟を抜け、墓地に着く。死者たちがたき火をぐるりと囲んでおり、ひとりから、これを食べないとお前は消えてしまうよ、と言われ、握り飯をもらう。戻ろうとして振り返ると洞窟は跡形もなく消えている。手足が徐々に透け始め、消える前に握り飯を飲み込む。そして、家に帰ることもできないまま、仕方なくその人たちとずっと一緒に暮らすことにした。
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