嘘つき/大西 チハル
 


許したと思っていたことを
許せてなかった
忘れてしまったと思っていたのに
忘れられなかった


台所で
風呂で

ふっとひとりになる
重ねてゆく日々の小さな落とし穴のような場所


おもいはこえにだせない(嘘つきはわたしです)
なくことはゆるされない(嘘つきはわたしです)




愛しさのかけらは
三日月のように
浮かび

ただじっと
満たされるのを待つ




戻る   Point(12)