嘘つき/
大西 チハル
許したと思っていたことを
許せてなかった
忘れてしまったと思っていたのに
忘れられなかった
台所で
風呂で
ふっとひとりになる
重ねてゆく日々の小さな落とし穴のような場所
おもいはこえにだせない(嘘つきはわたしです)
なくことはゆるされない(嘘つきはわたしです)
愛しさのかけらは
三日月のように
浮かび
ただじっと
満たされるのを待つ
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