美しい文様/藤鈴呼
骨折をした年の暮れ
左手で 年賀状を 書きました
蚯蚓ノタウチ回るような 面持ちで
心持ちだけは 穏やかに
ただ お餅だけは
何故か 食べる気が しませんでした
そろそろと流れる 雲の隙間に
綺麗な青空が 見え隠れしましたが
何だか 泥雑巾を 思い出してしまって
どんなにキレイな絵具でも
スポイトから垂らしたヨダレ一滴で
ぐちゃぐちゃの味わいに なってしまったり するの
黄色の 幼稚園児を 懐かしみたくなるような 色合いの
区切りばかりが クッキリ ハッキリついた バケツで
大きな筆を ぐるん ぐるんと
回しながら 洗うと
何故か あの時の 飛行機雲
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