Side by side/ホロウ・シカエルボク
のかと訝ったようだったが
俺が短く称賛するとにっこりと笑った
捨ててすっきりすることが豊かな人生のコツなら
彼女のような人生は表彰されたって良い
飛ばし過ぎて死んじまう連中もまた同じさ、どこが違うと言うのかね
生まれてこのかたその手にしてきたものを後生大事に抱えて続けてこそじゃないか
遊びと無駄に囲まれながら少しずつ拾い上げるのさ、それが本当は人生ってもんなんだ
誰にともなく能書きを垂れながら歩いていると
東の空が貧血のような白さに染まり始める
忘れていたはずの朝がまた始まる
まともな連中がまともな人生のために蠢きだす
そいつらがまともな狂気を生み出し続けている
街外れまで行って使われなくなった古い道を歩こう
草にまみれたアスファルトの亀裂を
物語をなぞるように読みながら
歩けるところまで歩いてみるのも一興じゃないかね
俺みたいな人間にはそんなのがお似合いなのさ
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