トゥリャ・トゥリャ/ただのみきや
う
蝸牛の寡黙な巡礼
宅急便が踏みつける
冷たくなったマルハナバチ
なにを見つめても
見つめ通せはしない
崩れる家
溶ける自画像
一片の熾火のように
時折 爆ぜ
雨 いつまで
土曜日
黄金週間
峠に雪が降る
足場の上の作業員に
風が重たくまとわりつく
働かざる者食うべからずか
食わねばならぬか生きるためには
生きるというならやむを得ないか
弄られながら散りもせず
咲いて間もない花びらの
しずく飛ばされて
頬に冷たく
日曜日
電話で起きる
光の中で見つけてしまう
息苦しさ 鐘のような沈黙
深い海から上がってきた
闇を吐き戻し
白いけむりの羽根が舞う
――ほんの数分
皮膚を硬くして
歩行を始める
沸騰したら六分半
手中の卵のざらついた白さ
夢のなにかと
符合して
《トゥリャ・トゥリャ:2016年5月1日》
戻る 編 削 Point(5)