トゥリャ・トゥリャ/ただのみきや
 
月曜日
連なるうろこ雲
蟻から見れば雲突く大男が
注がれたばかりの朝を濁す
休日に書き残したカタコト
浴び続けた音の粉末を
明け方の夢の切れ切れと一緒くた
焼却炉みたいに燻らせながら
雲の上から見下ろせば
蚤にも満たない
男が一人


火曜日
開きかけた桜の下
そよ風よりも視線にわかに
ちょっかいをだす
鳥の独白 装う告発
細く長く静寂を裂いて
遠く 車が唸る
耳は洞窟の涼しさで
色もなく
揺れもしない
コップの水のように
ささやかにイメージを屈折させて


水曜日
白樺は風の腕しなやかに
身を任せ
魔女は火炙りになる
立ちのぼる灰ゐろ
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