夜光虫たちの晩餐/ホロウ・シカエルボク
夜の足元に浸透する無色な表情たちは鋭利な棘を準備している、浮かれた心はだから、すぐに冷めて大人しく蹲る、折り曲げて抱いた両の膝越しに見える足は爪が少し伸び過ぎている、無色な表情たちはそいつが自分たちを引っかくことに腹を立てたのかもしれない、腹を立てて、無色な表情なりの意思表示を模索したのだ、それがいま、夜の足元に浸透し続けている、浸透して、その内に堆積している、無軌道にあちこちの方角を向いて伸びあがる棘たちは、まるで珍しい花のおしべのように見える、鋭い傷は予感されるだろう、でもそれが、本当のことかどうかなんて誰にも判らないだろう
音楽は盛大に鳴り過ぎた、様々な事柄が程度を間違
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