死活/飯沼ふるい
 
れるイチモツを握り、唯一まだ汁を垂らしていないその最涯の穴から、僕の髄まで絞り出そうとする。祖父はとうとう僕の尻穴に指の味見をさせずに逝った。外で小便を垂れるのと同じ種類の心地好さや幸福な感じにまみれている。武者震い。イチモツと陰嚢の狭間が震えはじめる。

ひくひく、ひくひくと。

もういい
飛び出していけ
なにもかも失ってしまったのだ
なにもかも失ってしまえ
「きみ」という
一過性の無間
引きずり抜かれていく
「さんじゅうろくどごぶ」の体温
頭のなかも真っ白に
込み上げてくる嗚咽
真昼の月はぼろぼろと崩れ
失いかけた我が名を取り戻すように
「きみ」の名を絶叫する

「きみ」の名を絶叫する
戻る   Point(2)