門/レタス
 
天国と地獄の門にぼくはノックした
迎えた顔はどちらも不可解な顔で
ぼくを眺め
ようこそと迎える
恐ろしさはどちらも等分で

いらっしゃいませとは言われたものの
ぼくは戸惑いながら
取り敢えず挨拶だけはしたのだ

天国では天使から赤ワインとパンを戴き
地獄では鬼から鰻重を頂いて

どちらか迷いながら
ぼくの彼女に聞くと

鰻重の方が良いでしょと呟く

ぼくはスズキのカルパッチョが出されるのではないかと
戸惑い天国に手を振り

彼女は鬼の頬を撫でた

どちらでも良いのは解っている
天国と地獄は繋がっているのだから
どうでも良いことなのだ

天国と地獄の門に変わりはない
彼女とぼくの胸の遠雷が響き
手のひらを握り締める

たった一度の選択を
せままれ
これはもう
帰るしかないと思った








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