雨/みどり/
ただのみきや
白樺の若葉は濡れてなお淡く
陰りの中に揺れ
畑の麦はより深く
滲むように息づいた
日差しにかすむものたちが
雨の日には薄められず
沁みて とおる
焦げついた所まで
土の匂い
湿った風
幾重にもみどり
傷痕へおかれた手のように
おだやかにいさめながら
《雨/みどり:2016年5月4日》
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