冬景/あやさめ
夕方になっても朱い色はどこにも見えてこないままで
目を潰す高さに飛んでやってくる
青白い色のかたまり
普段よりしおれた植物みたいな角度で動いていく
歩道の上の 傘のない通行人
磨りガラスの景色で春もはるか先に貸し付けて忘れていく
雪が降る 風が無くなる
足元の見えない靴の滑る様子が地面に跳ね返って映らないように
隠しては遠くへ行くので
耳のない頭のように影もない光は四方八方に散らばって
拾えない彼が ため息をつく
踏み切りのこちら側で何か伝えようとしても
継ぎ目を気にせずに走り抜ける
電車にかき消される
背伸びをした子供の後ろで首輪のない犬が振り
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