草間弥生なら分かってくれるだろうか/天野茂典
くたびれてしまったコップが
くたびれてしまった自分に
ごくごく水を流している
水道の蛇口が爆発するくらい
くたびれているのだ
ごくごく水を飲んでいる
やがて自分が水道管になったように
シマウマを飲み込んだ蛇のように
水のたまりが動いてゆくのが分かる
草間弥生なら分かってくれるだろうか
アラーキだったら
このくたびれようを作品にしてしまうだろう
海の濃度で水が飲めたらぼくらも海に帰れるのに
飲む ごくごく飲む 飲む ごくごく飲む
短い川のように やがて海に出るまで飲む
飲み続ける
ワット若草がでるまで待って
ワット吐き出す
春が来るまでもう少し
もうすぐ春ですね
ちょっと気取ってみませんか
その日のために
飲む ごくごく飲む
水を
一滴までも
クオーク
2005・02・24
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