めくりかえしたい/石川和広
詩だけでは
あなたの全ては表現できませんよね
とカウンセラーが去年の暮れ云いました
これから、僕に訪れる事態
そうだと思うと答えてから
ずっと考えている
その間
いなづまや女や男が僕を引きちぎろうとする
いくつかの請求書を破った
気持ちのままいきたい
第三者の目は勝手に内臓されているので
薄明かりの時間をさまよっている
ほんとうは未来も昔も
今の中に詰まっていて
今は僕で
僕は僕の外側から観察を
続けている僕で
観察地から
ひこうきの爆音が
いくつかきて、すぎさった虚しさで
りんごジュースをひとくち飲んだ
りんごも人類の無菌
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