めくりかえしたい/石川和広
 
詩だけでは
あなたの全ては表現できませんよね
とカウンセラーが去年の暮れ云いました

これから、僕に訪れる事態

そうだと思うと答えてから
ずっと考えている
その間

いなづまや女や男が僕を引きちぎろうとする
いくつかの請求書を破った

気持ちのままいきたい
第三者の目は勝手に内臓されているので

薄明かりの時間をさまよっている

ほんとうは未来も昔も
今の中に詰まっていて
今は僕で
僕は僕の外側から観察を
続けている僕で

観察地から
ひこうきの爆音が
いくつかきて、すぎさった虚しさで
りんごジュースをひとくち飲んだ

りんごも人類の無菌
[次のページ]
戻る   Point(1)