夜明け前、記憶の中で明日を/ホロウ・シカエルボク
の前室にやって来て
あくび交じりで上る準備をし始めるころに
少しだけ寒くなるのが好きだ
どんなに暑い夏でもその時間はそうなるのだ
その寒さはわたしに
「まだ行くべきところがある」と教えてくれる
行くべきところがあれば
きっとそこでなにかをすることが出来るだろう
いつかどこかに
腰を落ち着けることが来るのかもしれない
でもしばらくはこうしてバスを待ち続けるだろう
世界が少しずつ明るくなるのが判る?
わたしは運命に名前をつけたりしない
男もののボストンバッグをぶら下げて
繋がりを断ち切るのは悪い気分じゃない
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