shima/山人
てきていた
島はふたたび、生き物たちの活動が始まった
島に十年ぶりに新しい島民が来るらしい
そう島主が伝えた日は、薄曇りの続く、秋の日だった
わずかな世帯の寄り集まりのなかに、一人の大きな体躯をした青年があらわれた
少しだけひげを蓄え、大きな荷物を背中に背負いこみ、それをおろすでもなく、奇妙な挨拶をし始めた
何を言っているのか、島民は呆然と死んだような目でそれを眺めていた
島民の顔は皺で、本来どのような顔をしていたのかわからぬほど憔悴し、老化していた
すでに、表情を変える筋肉さえも退化し、重力に身をまか、弛んだ皮膚が皺のひとすじを微かに動かしていた
不思議な光景だった
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