あめふらし/ただのみきや
 
ぽろぽろあまだれ
跳ね蛙スローモーション
滲む文様から浮かんだ島
鳥に紛れ白髪女ひとり
永い束ねを千切る声震わせて
ふたつみつの影を漉く
ひと筆の青さもない
そら背負ってうみは来る
 たぷたぷ 
  とぷとぷたぷ
うろこはがれ
うそ脱皮する 顔
透き通り尚も幼生のまま
うみ おおらかに

 」アレ臭クナル前ニ
  土へ埋メテシマエ「

口のない壜ひとつ
春の未明を孕み続け
――再び還る
    うみへ
女の発火 祈るように
落雷の有様が蛇で
うみもりくもくらしも
問わずに打って打ち負かす
あめふらし 
あめふらし
むさぼる視の紫の味わい
苦く洞に溶けて叫べず
熱奪われて
土から生える骨の素直さ
ぽろぽろあまだれ
跳ねかえるスローモーション
あたまのなかにごす
焔くびれた白い腹



      《あめふらし:2016年4月27日》







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