月の都/レタス
 
月を観なくなってどれくらいになるだろう

その光に照らされた満開の桜
あれからとうに十年は過ぎた

慈愛と悲哀を噛みしめて
水面を昇華させた日々

もうあの日は還らない

永遠の絆を信じて酒に興じ
集った日々
そこには何時もメロディが共有され
あの顔
その顔に頬笑みが溢れていた

始まりは緑の牧神の一笛に
アルプスを越えて
羊たちは集まった

奇跡の芽生えが散りばめられ
銀の鎖は繋がった

そろそろレタスの芽生えがやってくる
五月の風はもう近い

満月の光を浴びてもいい頃だ




戻る   Point(3)