月の都/レタス
月を観なくなってどれくらいになるだろう
その光に照らされた満開の桜
あれからとうに十年は過ぎた
慈愛と悲哀を噛みしめて
水面を昇華させた日々
もうあの日は還らない
永遠の絆を信じて酒に興じ
集った日々
そこには何時もメロディが共有され
あの顔
その顔に頬笑みが溢れていた
始まりは緑の牧神の一笛に
アルプスを越えて
羊たちは集まった
奇跡の芽生えが散りばめられ
銀の鎖は繋がった
そろそろレタスの芽生えがやってくる
五月の風はもう近い
満月の光を浴びてもいい頃だ
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