風談義/ただのみきや
もみの木のてっぺんで何してやがる
季節外れの煤けたお星様って訳じゃあるまいし
カラスのくせに風見の真似か なに
風は見るものじゃない 乗るものだって?
違いない 世のなか乗ったもん勝ちよ
だけど風ほどの気まぐれ無責任はいやしない
群れて飛ばされりゃ悪い想像は避けやすい
からっぽキラキラのシャボン玉さ せめて
タンポポの綿毛なみに内に持ってりゃいいが
どこへ落ちても生きてやるって矜持と一緒に
だが悪いところへ吹き溜まると
あらかた二手分かれる
「あのころは良かった」と
「おれたちは騙されていた」に
ほんの一握りだけ「自分の選んだこと」は
だからおれは風を見張るだけ
風
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