ひとりでスケッチ/光冨郁埜
 
鉛筆で、ノートのページに横線を引く。
上に白い入道雲を描く。
太陽は紙の外側にある。
雲と横線の間にもう一本、水平線。
横線と横線の間にあるのは、青い海で、
白く波打つのは風があったから。
僕と白ワンピースの、小さな背中を描くと、
下の線は去年、腰掛けていた、港の岸。
青い空にゆらいでいた白いカモメも描く。
目をとじると、潮の香りと、降りだした雨。

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