彼岸の頃に。/
梓ゆい
ほんの一瞬
暖かな風が吹いた。
「良く来たね。」と歓迎をするかのように。
茶色に広がる裏手の木は緑色に染まり
父が眠る墓石を優しく包んでいる。
「お父さん。行って来ます。」
ぴかぴかに磨いた墓石に手を合わせ
何度も何度も振り返り駅へと向かう母の車に飛び乗った。
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