昼寝の時間。/梓ゆい
 
日のあたる西の縁側。

誰かの気配を感じて
はっ!と振り返る。

そこには胡坐をかき
半纏姿で茶をすする在りし日の親父が
にこりと笑って手を振っていた。

「元気でやっているか?困った事は無いか?」

ゆっくりと動く口元が
労わりながら話しかけているようで

私は元気良く
「心配するな。皆と仲良くやっている。」と
返事をする。

少し傾いた西日に背を向けて
親父は静かに立ち上がり
また来るよ。と手を振りながら
新緑の庭へと消えていった。

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