煙草と月/印あかり
 
ふらりと月が立ち昇る

しっとり濡れたベンチに
横たわり
息をひそめる

今 遠くで
かたちを成しはじめた月
もっと高くへ昇れよ

つめたい窪みに
春の海を注ぐように
骨の隙間に
抱擁を流しこむように

この月が
生き物の目覚めに怯えぬよう

その軌道に
温い煙をくゆらせる

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