緞帳/霜天
青い窓
と、部屋
泣きそうになるその人が
もう飽きたかのような指先で
コップの端を噛んでいる
くたびれてしまった
すこしねむってみたいな
そんな具合に
どこかから雨漏りがしてくる
慌てて置いたバケツには底が無くて
染みの、広がっていく辺りに
中途半端なあくびを投げる
そんなことを繰り返しているような
僕らは
緞帳が
上が
る
押し出されたステージでは
どこかで聞いたような歌が
いつまでも流れていた
恋だ愛だのと叫んでいた
ような気がするけど
さっぱり思い出せない
雪を冷たいスプーンですくって
放り投げる
キーンという音がして
漏れていた思考が帰ってくる
観衆は見向きもせずに
ただ、遠い出口を
地図の上で探している
緞帳が上がる
青い窓と部屋
雨漏りの屋根は今にも崩れそうで
僕らは毎日に押し出されながら
とりあえず眠り続けている
そんなふうに、繰り返している
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