砂時計/あおい満月
夜の征服の旅は終わらない
朝が来ても彼らは背中で旅の攻略を立てる。
ひび割れた薄暗い硝子窓から、
薄日がさす。
薄日と一緒に、
なにやら煙のような霧が
入り込む。
彼らの二本の目が煙に触れた。
すると彼らは一斉に、
欠伸をするように眠り込む。
彼らは目を覚まさない。
彼らの身体は虹のように、
透明になり床に溶けていく。
跡形もなくなったリビングから、
心ない人間たちの、
酒池肉林な笑い声が響く。
消えた彼らは、
あの人間どもの脳内に巣くわなければ、
自分たちの勝利は得られない。
彼らは夜毎、
あの人間どもの鼻から、
脳内に忍び込む術を、
模索している。
月の足音を砂時計にして。
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