花畑(5)/
吉岡ペペロ
のようにして財布に入れて持ち歩いていたのだ。
そのなかにハサミで整えてない記事があるはずだった。それは今度行ってみようと思ってやぶっておいた飲み屋の記事だった。
ここからそう遠くない下谷にその店はあった。
財布のなかにしわがれた紙片を見つけてぼくは店に向かった。妖婦と呼ばれた阿部定がやっているという小料理屋だった。カウンターの中からお酌する阿部定の写真になにか惹かれていつか行こうと思っていたのだ。
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