花畑(4)/吉岡ペペロ
 
 和夫くんはさすがだった。秋が深まるころにはいじめられなくなっていた。
 和夫くんのお父さんが無実になった訳ではなかった。
 小学生の頃から和夫くんを知っているひとなら、先生からもつねに一目置かれていた和夫くんをいじめることなどしない。いじめていたのは中学から一緒になった子たちだけだった。その子たちももう和夫くんをいじめることをやめていた。
 ぼくはもう和夫くんとは口がきけなかった。
 それでも和夫くんは教室や廊下でいつもぼくに微笑んでくれた。和夫くんが微笑んでくれると、和夫くんのハーモニカに合わせて歌うと浮かんだお花畑がぼくの胸を満たした。でも、ぼくはどんな顔をして微笑み返せば良いのかわ
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